当社の主要顧客でもある航空業界が、航空機の運航や、空港における地上支援車両の運行を通じて排出する二酸化炭素は、世界全体の排出量の2~4%に相当します。これは、輸送部門のなかでは自動車に次ぐ排出量で、今後は自動車の電動化、ゼロエミッション化が進むことでその差は縮まっていくでしょう。
世界各国が2050年までのカーボンニュートラル達成をコミットするなか、当然のことながら航空業界も様々な取り組みを強化しています。ICAO(国際民間航空機関)が2022年2月に採択した最新のレポートでは、2050年までに航空業界が削減する二酸化炭素のうち、燃料やクリーンなエネルギー源による削減が最大55%、航空機の技術革新により最大21%、運航の改善により最大11%と予想しています。
やはり、排出量削減に直接的かつ最も貢献するのは燃料で、近年はSAF(Sustainable Aviation Fuel)と呼ばれるバイオ燃料の開発・活用が進み、現在は航空燃料の50%までSAFを混合して飛行することが認められています。航空業界にとってコロナ渦の影響は甚大でしたが、それでも各社はSAF燃料の開発、調達への投資を継続し、中長期的な環境問題の改善にコミットしているのです。当社としても、このような航空業界の取り組みをいかに支援できるかを重要な課題として捉えています。
そこで私たちは、航空機を利用する旅行者の視点に着目しています。
自社社員の出張や物品(原材料や商品)の輸送などで航空会社を利用する企業にとって、或いは環境意識の高い一般の旅行者にとって、どの航空会社、あるいはどのフライトを選べば排出量を抑えられるかは重大な関心事でしょう。特にサプライチェーンでの排出量を自社の削減目標や実績報告に含める義務がある企業にとっては、大事な選択と言えます。しかし、現時点では、利用者が航空座席を予約したり購入したりする旅行代理店やオンラインの予約サイトで、どのフライトがより環境に優しいのかを客観的に知ることはできません。当社は、関連会社であるバーテイルテクノロジーズ(www.verteil.co.jp)が提供する最新の旅行流通技術(NDC:New Distribution Capability)を通じ、どの航空会社のどのフライトが環境対策で優れているのか、利用者が判断できる情報を提供していきたいと考えています。
現在はまだ検討の段階ですが、このような情報が予約サイトから得られることによって、消費者が航空機での移動にうしろめたさを感じることなく、環境対策のしっかりした航空会社を選んで地球環境を保護できるような仕組みを整えていきたいと思います。
代表取締役社長 上甲哲也