2022年10月11日から、ようやく我が国と世界との人の往来制限が大幅に解除されます。観光立国を掲げる我が国、そして観光産業としては待ちに待ったマイルストーンです!
個人旅行の受け入れ再開、査証免除措置の適用再開は、一気に日本への旅行意欲を後押しすることでしょう。いまだに東アジアの大国が「開国」していないことから、2019年並みのインバウンドの賑わいを取り戻すにはもう少し時間がかかりそうですが、3年近く枯渇していた市場は、久しぶりの活況で息を吹き返すに違いありません。
振り返れば、ほぼ鎖国状態にあった2年半は、私たちの殆どが世界から物理的にも精神的にも距離を置いた時間でした。この間、無観客開催となった東京オリンピック、彼我のコロナ政策の違い、ウクライナ侵攻、円安、物価高など、世界の中の日本を客観的に映し出す出来事や市場の変化が続きました。今に始まったことではありませんが、各種経済指標は日本の相対的な地位の低下を示していて、このままでは益々格差が拡がる危険すらあります。
それでも、コロナ渦の私たちの暮らしぶりはどうだったでしょう。皆が制限された境遇に静かに耐え、ニューノーマルの働き方に真の豊かさへの希望を見出し、感染拡大の合間に訪ねる旅行先では、平静を取り戻した日本の原風景に感動すら覚えたものです。あれこれ不自由でも、存外に居心地良く暮らしていたと言えるのかもしれません。どんな苦境にあっても力を合わせて明るく生き抜くことができるのは、この国の美徳だと自信を持ちたいものです。
今、私たちの文化圏を包み込んで外界との接触を遮断していたポッドが、2年半ぶりに開こうとしています。世界と日本の距離がぐっと縮まり、交流が再開されます。勢いよく風が吹き込み、そのせいで多少の摩擦が生じるかもしれません。しかし、数千万人の旅行者が日本への旅行を待ちわびているということは、これだけ多くの人々にとって日本や社会の営みが魅力的に映る証でもあるのです。
ようこそニッポンへ。観光産業は日本の大きな柱に育ち、日本と世界の格差を縮めてくれると期待したいと思います。
航空業界や旅行業界を支援する私たちも、再び世界に飛び出す覚悟を新たにしています。
代表取締役社長 上甲哲也